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ポル・ポト―ある悪夢の歴史

ポル・ポト―ある悪夢の歴史

フィリップ ショート

ポル・ポト―ある悪夢の歴史

定価: ¥ 7,140

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発売日: 2008-02

発売元: 白水社

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ひるがえってカンボジア以外を考えさせられる
かのカンボジアにおけるクメール・ルージュによる未曾有の大虐殺、その張本人である

ポルポト(サロト・サル)の評伝。いきなり幼少時代の記述が始まるので、そもそもを知ら

ない人には入って行きづらい構成です。訳者解説から読むのを推奨中。



いまだ存命の関係者へのインタビューなど膨大な取材に基づいて、これまでの類書を超

えた決定版となっています。ブ厚いですけど。

そこで描かれるのは、無垢な善意とおそるべき無能。

結果として、誤った社会政策(ないしは社会政策の不在)と現実よりも理念を優先すること

により、多くの人名が失われ(つーか惨たらしく殺され)、より多くの人間性が(加害者側

も含めて)破壊されました。



サロト・サル個人の遍歴を追う構成になっているので、例えば懐かしの本多勝一などによ

るルポなどと比べて評論的な部分や背景的な解説は少ないんですけど、むしろ、かえって

視野がひろがる部分があります。

無垢(で幼稚)な善意と、難しい理念を生半可に理解したつもりの夜郎自大と、そして

びっくりするくらいの現実対処能力のなさ・・・これって「歴史」としての「民主カンプチア」

を評価するなら、そりゃそうかもしれませんが、でももし自分が同じ状況の中で同じ立場に

立たされたなら、一連の経緯のどこかで殺されてるのは確実でしょうが、有能であった自信

なんかないッス。つーか、正しく狡知ににたけ、理念の背景も飲み込み、それでいて現実的

に有能でありえる人なんか、誰かいるんか、とか思えます。

(ポルポトを弁護しているのでは全くありません)



かえって、こうした恐るべき善意と無能を免れえた事例(大部分の諸国)がどーして可能

だったのか、それこそを改めて考えなきゃいけないようにも思います。

その意味で、物理的にではなく、「重い」一冊かと。

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